院長ブログBLOG

排卵済みになってしまわないか心配です

2016.8.1 - 2023.2.3

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お腹をおさえる女性

日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラーの國井(くにい)です。

新宿の不妊専門クリニックにて、クロミフェン周期で体外受精にトライ中の患者さん。

クリニック帰りに当院に来院されて、ちょっとした不安を相談されました。

今回はその際のやりとりをシェアしたいと思います。

1.排卵済みにならないか心配になった理由

相談内容は以下のようなものでした。

「今日、卵胞の大きさが21ミリもあったんですけど、今日の夜に点鼻薬をして、明後日採卵になりました。

排卵済みになってしまわないか心配なんです。」

1-1.卵胞の大きさから排卵済みを不安視

時間もお金もかかる体外受精。

採卵前に排卵済みとなってしまうことは最も避けたい事態ですよね。

排卵前の主席卵胞の大きさの目安は一般的に20ミリ前後です。

多くのクリニックではエコー(内診)にて卵胞径を測ることで、これをひとつの指標にして、排卵時期を推測します。

この方もその知識があったため、21ミリという大きさに

「あと2日間も排卵済みになることなく耐えられるのだろうか、、、」

という不安が頭をよぎったようです。

1-2.LHサージ開始の有無の把握が排卵済みを防ぐ

このクリニックでは必ず通院日にほぼ必ず採血があるため、その日の採血結果を見せていただきました。

卵胞からでているホルモンである

E2

は十分に上がっていましたが、脳からでているホルモンである

LH

が、まだ一桁台。

「LHがまだ上がってきてないから、きっと採卵日に排卵済みとはならないなんじゃないですかね〜」

とお話ししました。

排卵するときには、このLHというホルモンが一過性に急上昇します。

というか、急上昇したLHを卵胞が浴びることで、排卵します。

このLHの急上昇を

LHサージ

と言います。

2.クリニックは排卵ギリギリに採卵したい

LHが一桁台ということは、まだLHサージが始まってないことが示唆されます。

LHサージが始まると、一般に1日半、36時間後くらいに排卵すると考えられています。

スプレキュアなどの点鼻薬は、このLHサージ発動を誘発させるために使用されます。

夜に点鼻薬をして、翌々日の朝に採卵するというのは、まさにLHサージ開始の後押しから34〜35時間後の

“排卵直前”

ギリギリを狙って採卵しているということです。

排卵直前が最も成熟卵が採れる確率が上がるといわれていますからね。

2-1.採卵日決定までのクロミフェン継続は排卵済みを防ぐ働きもある

また、自然なLHサージの発動は、脳が上昇したE2を感受することにより起こります。

クロミッドは

「排卵誘発剤」

ですが、これはあくまでも卵胞を成長させるまでの話。

脳のE2感受を鈍らせる薬であるクロミッドは、ある種、排卵抑制(LHサージ発動抑制)作用もあると言えます。

このクリニックの治療パターンが、採卵近くまでクロミッドを服用し続ける大きな理由の一つはここにあるのだと思います。

クロミッドやセロフェンなどのクロミフェン製剤については過去のブログでも詳しく解説していますので、ご興味があればご覧になってみてください。


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