院長ブログBLOG

当院の不妊鍼灸の成績

2021.8.5 - 2021.9.10

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2010年、不妊専門の鍼灸院として開院以来、のべ5000名以上の相談者様が来院されました。

不妊治療に当院の不妊鍼灸をプラスすることで一体どれだけの効果が期待できるのでしょうか。

以下に紹介していきたいと思います。

1.2016年~2020年までの5年間の妊娠報告概要

2016年~2020年までの5年間でのべ839名から妊娠報告をいただきました。


自然妊娠
(体外お休み中含む)
人工授精との併用体外受精との併用トータル
~29歳2192050
30~34歳6518143226
35~39歳4212263317
40~44歳 213211235
45歳~ 101011
トータル150件42件647件839件
【当院の妊娠報告数:年齢と妊娠手段の内訳(2016年~2020年)】

1-1.年齢別の妊娠報告数

5年間の累計妊娠報告数を年代別にみると、35歳〜39歳が317件と最も多く、次いで40歳〜44歳が235件、30歳〜34歳が226件となりました。

一般に、35歳を過ぎたあたりから妊娠率は低下し、40歳以降になるとより難しくなるのは周知の事実となっています。

しかし、10年間不妊治療をサポートしてきた上で、

30代であれば可能性は十二分にあり、40代でも全く諦める必要はない

という実感が私の中にはあります。

1-2.不妊治療ステージ別の妊娠報告数

5年間の累計妊娠報告数を不妊治療ステージ別にみると、体外受精との併用が647件と最も多く、次いで自然妊娠(体外受精のお休み周期中も含む)が150件、人工授精との併用が42件となりました。

(※当院は鍼灸院です。「体外受精との併用」「人工授精との併用」に関しましては、相談者様がクリニックにて不妊治療を受けながら当院にも来院されているということです。)

「体外受精との併用」が圧倒的に多い理由としては、そもそも体外受精でもうまくいっていないことで「何か他にできることはないか」と不妊鍼灸を初めて受けられるケースが多いからです。

つまり、当院に来院された時点で既に不妊治療ステージが体外受精である相談者様が圧倒的に多いというだけで、体外受精までステップアップしなければ不妊鍼灸は効果がない、ということではありません。

西洋医学 > 東洋医学

というパワーバランスの現代日本においては、不妊分野も例外ではありません。

西洋医学でやれるところまでやった上で、それでもダメならようやく東洋医学に目を向けられることが多いのですが、当院としてはタイミング法・人工授精・体外受精のどのステージで妊活に取り組まれている方に対しても、妊娠率を上げることができているという実感はありますので、できるだけ早い段階からご来院いただくことをお勧めしたいです。

2.不妊鍼灸の効果をどう証明するか

不妊鍼灸が妊娠力の底上げに繋がるということは、日々の診療を通じて身をもって実感しているところです。

ただ、この不妊鍼灸の効果を数値化して証明することは非常に難しくもあります。

2-1.妊娠率70%前後を謳う鍼灸院が乱立

近年では不妊鍼灸を専門とする鍼灸院も急増していて

「妊娠率」

といった形でHP上に公開しているところも散見されます。

そういった鍼灸院のほとんどは70%前後の「夢のような妊娠率」を謳っているのが現状です。

あなたも実際に目にしたことがあるかもしれません。

これにはちょっとしたカラクリがあります。

例えば10人の患者様が鍼灸院に来院したとします。

10人の患者

うち3人は妊娠しました。

うち1人はいまだ妊娠できていません。

うち6人は6ヶ月以内に鍼灸院通院を辞めてしまいました。

妊娠した人・妊娠してない人・通院をやめた人

一見すると、10人中3人が妊娠したから

3÷10=妊娠率30%

、、、となりそうですが、ここで

「※6ヶ月以内に通院をやめてしまった方を除く」

という魔法の言葉をプラスすると、、、

半年以内に通院をやめた人は妊娠率から除外

3÷4=妊娠率75%

※6ヶ月以内に通院をやめてしまった方を除く

、、、となります。

当然ながら鍼灸院には必ず”離脱患者”が存在します。

途中で来院が途切れてしまう患者様です。

信じられないほどの高い妊娠率が提示できるカラクリは、離脱患者数を分母から減らすことによるものです。

当院では、このように意図的につくった数字を公開して、それをもとに来院を促すことはしたくありません。

本来であれば、来院された患者様総数に対して何名の方が妊娠されたのかを公表するのが最もまっすぐな提示の仕方だとは思うのですが、とはいえ数回の来院でその後来院されなくなってしまう方も一定数いらっしゃる以上、単純に『妊娠数÷来院人数』を妊娠率として公開することもできません。

では、何をもってして、当院の不妊鍼灸が効果的なことを数値化してアピールできるのか。

不妊鍼灸でたくさんの方に寄り添ってきて、確かにその効果を肌感覚で実感している反面、それを数字化することの難しさにしばらく悩む日々が続きました。

例えば体外受精に取り組まれている方が、鍼灸を始めてから採卵できる数が増えたり、凍結率が上がるケース本当に多く目にしますし、そのような効果が得られる可能性も十分に感じています。

しかし、クリニックで行う誘発刺激の方法が少しでも変わってしまえばフェアな比較はできません。

もし仮に同じ刺激方法であったとしても、前周期の治療内容によって卵巣の状態が異なることも多々あるため、やはり採卵結果をもとにアピールするのは難しくなります。

2-2.最もフェアな比較に適しているのは“移植あたりの妊娠率”

そこで当院では、2016年より「移植あたりの妊娠率」を数値化することにしました。

当院に来院されている相談者様の中でも体外受精をされている方に絞り、その方々の移植に寄り添った際にどれだけの確率で陽性(※胎嚢確認)となるかを検証しています。

移植あたりの妊娠率を対象として数値化することのメリットとしては、日本産婦人科学会が全国のデータを集計・公開しているところです。

『移植あたりの妊娠率の全国平均』

『当院の不妊鍼灸を併用した際の移植あたりの妊娠率』

を比べることで、不妊鍼灸の効果を間接的に測ることができると考えました。

3.当院が胚移植に寄り添った際の妊娠率を全国平均と比較

まず、日本産婦人科学会の2018年の発表では、全国の体外受精を実施している不妊治療施設の総移植数は250,513件、妊娠数は80,036件で、移植あたりの妊娠率は31.9%であったとしています。


妊娠数総移植数移植あたりの妊娠率
~29歳535911665約45.9%
30~34歳2325154710約42.5%
35~39歳3388293955約36.1%
40~44歳 1688879872約21.1%
45歳~ 65610311約6.4%
トータル80036件250513件約31.9%
【日本産婦人科学会が報告した全国の総移植数と妊娠数(2018年)】

対して、当院では2016年1月5日から2020年12月28日までの5年間、1377件の胚移植に寄り添いました。

うち、クリニックで妊娠が確認(※胎嚢確認)できたのは647件でした。

つまり、当院の不妊鍼灸を併用して移植に臨んだ方は、約47%の確率で妊娠報告をいただけたことになります。


妊娠数総移植数移植あたりの妊娠率
~29歳2030約66.7%
30~34歳143223約64.1%
35~39歳263487約54.0%
40~44歳 211561約37.6%
45歳~ 1076約13.2%
トータル647件1377件約47.0%
【当院が寄り添った総移植数と妊娠数(2016年~2020年)】

体外受精に当院の不妊鍼灸を併用することで、移植あたりの妊娠率が約15%以上もアップすることが期待できる結果となりました。

3-1.採卵「前」から不妊鍼灸を受けていた方のほうがより妊娠率が高い結果に

ここでもう一つの結果を報告したいと思います。

当院が寄り添った1377件の胚移植が、

「当院来院に採卵していた胚か」

「当院来院から採卵した胚か」

で比較検討しました。

当院来院前にすでに採卵していた胚の移植は168件、

うち妊娠に至ったのは61件。

当院来院後より採卵した胚の移植は1209件、

うち妊娠に至ったのは586件。

当院来院前に採卵していた胚の妊娠率は約36.3%で、当院来院後に採卵した胚の妊娠率は約48.5%と、12%以上もの開きがでたのです。


妊娠数総移植数移植あたりの妊娠率
当院来院前より採卵を終えてできた胚61168約36.3%
当院来院後に採卵してできた胚5861209約48.5%
トータル6471377約47.0%
【採卵後から当院を利用した移植と採卵前から当院を利用した移植の比較(2016~2020年)】

なぜこのような結果となったのか。考えられる理由は2つあります。

3-1-1.当院の不妊鍼灸で結果的に卵の質が上がる可能性

当院来院前より採卵を終えていた胚移植に寄り添っても、全国平均の31.9%を上回る36.3%となっているため、不妊鍼灸は着床環境をよくする側面ももちろんあると思っています。

ですが、採卵前より当院に来院されてから採卵してできた胚を移植したほうが、妊娠率が48.5%となっているということは、質のいい卵をつくることにもつながる可能性が示唆された結果であると捉えています。

実際には、「卵の質を上げるツボ」などが直接的に存在するわけではありません。

顕微鏡もなかった時代に栄えていた東洋医学の世界には、そもそも「卵子」という概念自体が存在しないのです。

それでも、全身のバランスを鍼灸や漢方で整えることにより、当時不妊で悩む方々に効果をあげていました。

東洋医学的にお身体を整えることは、現代医学のメガネを通してみると結果的に卵の質を上げることにも繋がっていたのだと推測できます。

3-1-2.クリニック選びのアドバイス

当院に来院される相談者様の不妊治療ステージは体外受精であるケースが多いことは冒頭にも書きました。

来院理由として

「西洋医学での不妊治療が手詰まりだから不妊鍼灸を試してみたい」

という方が多いのです。

当院は初診の際に、過去の不妊治療歴を詳細に伺わせていただきます。

その上で、必要性がありそうであれば、その方に合いそうなクリニックの提案や情報提供も行なっています。

不妊治療は、とくに体外受精になるとクリニック間での技術格差が想像以上に大きいです。つまり

「西洋医学で手詰まり」

と判断するのは時期尚早で、

「いま通われているそのクリニックで手詰まり」

なだけであることも実際に少なくないのです。

どこのクリニックがその方の正解になるのかは、最終的には結果論でしかわかりませんが、それでも当院のアドバイスや情報提供が功を奏したと思われる症例は過去に数え切れないほどありました。

当院来院後に採卵をした胚移植の方が妊娠率が高い理由のもう一つは、当院の不妊カウンセリングがその方にとっての適切なクリニック選びの助けとなることも大いに影響していると確信しています。

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