2016.11.6 - 2021.10.1
日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラーの國井(くにい)です。
今回もいただいたご質問に回答します。
お名前:名無しさん
ご質問内容:
自分たちで妊活を始め一年、タイミング法6ヶ月したところで、夫が乏精子症、私が多嚢胞性卵胞の傾向があることが判明。
九月に始めて人工授精にトライしましたが授からず、十月は卵胞が11ミリまでしか育たず他にもたくさんの卵胞が見えたということで治療断念となりました。
心配なのがこれで38日間生理がこないのに、低体温が続いていることです。
始めての人工授精でhcgとプロゲステロンの筋肉注射をしましたが、その後物凄く具合が悪くなった経緯があり、こういったホルモン注射が合わないのではないか、と感じます。
ホルモン治療で生理周期が狂ったり、体に影響することはありますか?こうした具合の悪さは針治療で改善するのでしょうか?
以上です。
名無しさん、ご質問ありがとうございました!
まず、名無しさんはクリニックにかかる前はどのくらいの生理周期だったのでしょうか。
もしも、今までは30日前後で生理が来ていて、38日生理がこないことが稀なのだとしたら。
そうであるならばやはり、HCGの注射が排卵リズムを乱した可能性はあると
”個人的には”
思います。
なぜそう思うのか。
それは単純に、僕が過去にHCG使用後、翌周期から卵の成長が思うように進まない現象を起こす患者さんを何人もみてきたからです。
このことについては過去にも書かせていただきました。
※読んでいない方はこちら↓
https://kuniichiryouin.com/blog/2016/05/hcghamorohanoturugi/
大半のクリニックはHCGに肯定的ですし、そういったクリニックは当然、HCGによる弊害を認めることはしないでしょう。
ただ、それでも明らかにHCGが原因で卵胞が一時的に育ちづらくなるケースは間違いなくあると
”個人的には”
思っています。
日本で一番の体外受精症例数を誇る新宿のクリニック系列もHCGには否定的です。
中枢性排卵障害や、反復採卵不成功例以外は基本的にHCGは使わず、スプレキュアなどの点鼻薬で排卵誘発を代用しています。
HCGとはそもそも、自然であれば
「妊娠したとき」
に初めて分泌されるホルモンです。
このホルモンの作用により、卵胞ホルモンと黄体ホルモン(プロゲステロン)の
分泌が促進され、身体は次の卵胞を育てることをやめます。
この機構により、妊娠中は排卵しません。
端的にいってしまえば、HCGを注射することで身体がプチ妊娠状態となり、リセットしても卵を成長させる機構が一時的に鈍ってしまうケースがあるのだと思います。
名無しさんの場合は黄体ホルモン(プロゲステロン)の注射もしていますからね。
より身体が
“妊娠している状態”
と誤認してしまったのかもしれません。
。。。ただですね、
これも
「間違いだ」
とは言い切れないのです。
というのも、その方法で妊娠すればそれが『正解』になるからです。
これが不妊治療の最も難しいところです。
とくに人工授精においては、それを行うタイミングと排卵する時期を極力すり合わせることが重要になります。
HCGのメリットに目を向ければ、
「使用後おおよそ36時間後に排卵を促せる非常に便利」
なホルモン剤です。
また、HCGは点鼻薬よりも卵子の最後の成熟を促す作用も強く、排卵後も黄体に作用して強力な黄体形成を促します。
これを使用して妊娠すれば、
「HCGを使っておいてよかった〜」
となるわけですね。
いつも書いていますが、正解はあくまでも結果論でしかわかりません。
だからこそ不妊治療は難しいともいえます。
38日生理がこず、いまだ低体温とのこと。
そもそも多嚢胞性卵巣気味の方は無排卵周期を多発しやすいため、これも名無しさんの今までの経緯を伺わないことにはなんとも言えません。
また、最近急に寒くなったため、外気の影響の受ける基礎体温だけでは重ねてなんとも言えないのが正直なところですが、もしもこの低体温が続く状態が名無しさんにとって珍しいことなのだとしたら。
一度クリニックに再チェックに行ってもいいかもしれません。
身体が卵胞を育てることを一時的に忘れてしまった場合は、ピルを使用したカウフマン療法が著効することもありますからね。
最後に。
ホルモン剤の類を使用すると、東洋医学的には
”脾(ひ)”
すなわち
”消化器”
に関わる部分に症状が出やすくなります。
これを東洋医学の観点から整えていくことで、ホルモン剤使用による不調が結果的に緩和するケースも実際にあります。
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